半自動化された工場と工夫の話

数年前、製造工程の統一化徹底化された商業用インクジェットプリンタの生産工場を見学があったが、そこで興味深い話を聞けた。
(下記はおぼろけな記憶を補完して書いてあるので、誤情報が含まれている可能性があります)
その工場には、幅2mくらいプリンター一台あたりに六畳弱程のスペースを割り当てられた作業セルが何十台分も並んでいて、ベルトコンベア式と違い、そのひとつのスペースの中で一人が一台を担当して、最終検査まで基礎の組み立て以外のほぼすべての工程を行う。そこには、工程ごとに図入りの解説が映し出された液晶モニタや、同じく工程ごとにネジなど二、三十種類の部品トレイの中から必要なものだけが出てくる装置が設置されており、ドライバーなどの電動工具もすべて無線通信で使用回数の記録からトルクの管理までされている。
それはもはや、人をロボットアーム代わりにした完全な半自動化であり間違える隙がなく(間違えたときのリカバリー作業もガイドが出る)、新人の教育もごく短期間で工具の扱いに慣れた人なら即日実作業に移ることができるレベルのものであった。(しかし、ライン方式の作業に比べると、一台丸ごと組み上げることで、まるでプラモデルのような楽しさがあるらしい)



そこで面白かったのが、作業にかかる人のほとんどが女性であったこと。この理由を尋ねたとき、回答として給与関係の事柄を予想したがはずれた。その答えは、この作業には圧倒的に女性が向いているからというものだった。
男性が向いていない理由は、

「男性はどうしても余計な工夫をしようとするから」

 男性は工夫をする、工夫を積み重ね熟練した者の何人かははこの半自動化された生産方式の平均を超える成果を挙げるが、工夫する男性全体の成果はこれを超えられない。余計な無駄がでるから。そのため、工夫を排した自動化だそうだ。


以下、その一人一台セル生産方式(正式名称は「屋台システム」、「D-shop」というらしい)について載っているページです。
"都田事業所での製造工程/ローランド ディー. ジー." *作業中の動画があります。
"取組み/活動:会社情報/ローランド ディー.ジー."
"ローランド ディー.ジー. リクルート"
大胆な生産方式にあっさりGOサインを出したり、技術をオープンにして見学を受け付けたり、こちらの会社の企業精神は素敵です。